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筆界を創設したり特定すること(俗に「決める」という言葉が使われることがありますが)ができるのは、裁判官と登記官 、そして土地区画整理や土地改良事業などによる換地処分だけです。それ以外の場合は、筆界は本来あるのにわからなくなっいるので調査して発見・確認(確定という言葉が用いられるときもあります)するのが原則となります。
調査対象地と官有地を含むすべての隣接する境界について、当該所有者及び隣地所有者の現地立会いの下に境界確認(占有界の確認)を行い、境界標のない境界点には新らたに境界標を設置し、これに基づく測量図に署名・押印(実印)し、印鑑証明が添付された状態、このように作成された測量図を「境界確認図」といいます。ー般的な土地の場合、占有する境界と筆界(地番界)はー致するのが普通ですので、この手続きによって筆界(地番界)が推認(推定)されることとなり、原則として分筆・地積更正登記が可能となります。この手続きがなされている状態を俗に「境界が確定している状態」と言います。
裁判官、登記官や土地区画整理や土地改良事業によって創設や特定された筆界,既に法務局に地積測量図が備付けられている土地の筆界については、調査対象地に筆界を基準となる点や現存する境界標などから調査士が現地に復元し,それを当該所有者及び隣地所有者の現地立会いの下に確認することになります。
法的に筆界が確定するのは、登記手続を経て1筆の土地として登記記録に反映され、地積測量図や地図が備わった時となります。
しかしながら、境界確認図作成に際し、官民査定に長い場合で数ヶ月を要すること、あるいは、すべての隣接所有者の実印による捺印や、印鑑証明書の要件が整わない場合もありえます。このため、不動産取引業者の実務上で多いのが、この国有財産あるいは公有財産の確認作業を省いた測量図(不動産取引業界では現況測量図と呼んでいる)を作成する方法ですが、法的にはいまだ境界が明確になっている訳ではありませんので,特に実測売買の契約の場合は注意が必要です。