A12
境界の確認、明示方法に関し、ー般的に次のような方法が考えられます。
1. すべての隣地所有者(国有財産及び公有財産を含む)と立会い確認をして作成した測量図のほかに境界確認書を作成して自署・押印(または記名 実印・印鑑証明書添付)し、それらに基づいて境界を明示する方法
2. すべての隣地所有者(国有財産及び公有財産を含む)と立会い確認をして作成した測量図に、全員が自署・押印(または記名 実印・印鑑証明書添付)のうえその写しを交換し、それに基づいて境界を明示する方法
3. 上の1及び2の場合において認印による測量図,境界確認書に基づいて境界を明示する方法
4. すべての隣地所有者(民地のみ)と立会い確認をして作成した測量図に、互いに署名・押印(認印)のうえ交換し、それに基づいて境界を明示する方法
5. 隣地所有者(民地)と立会い確認をし、その場で境界を明示するが書面や図面を作成しない方法
6. すべての、または一部の隣地所有者の立会い確認もなく、単に現況を測量した測量図を作成する方法
2の方法によれば一枚で全体を確認することができる書類となりますが、隣地所有者が写しの配布を求めた場合、同じ書類の写しを押印者全員が所持することになりますので、押印者全員の個人情報について互いに公開することを承諾してもらう必要があります。その点、1の方法によれば当事者間のみの確認書をそれぞれ作成し所持することとなりますので心配はありませんし、確認書の原本を隣地所有者も所持するのが最大のメリットとなります。
いずれにしても、境界確認図を作成する場合(上記1,2までの方法)による場合は、その作業内、作成する書類の法的内容の重要性といった観点からも土地家屋調査士に相談することがスムーズな手続きにかかせない要素となります。また、依頼する土地所有者は相応の時間と費用を要することも忘れないで下さい。
そして、現況測量図に基づく境界の明示(3,4の方法)、または単に現地での境界標のみの確認(5の方法) の場合は手間がかからない反面、法的に境界が確定しているとはいえないので、将来紛争が起こる可能性があること、また、分筆、地積更正を成しえない場合があることなどを十分に理解し納得したうえで契約に臨む必要があります。
(3の書類でも、境界についての専門職である土地家屋調査士が代理して地積更正または分筆登記申請については、土地家屋調査士が自ら隣地所有者全員に対し境界について間違いないことを確認した確認書や報告書を添付することにより登記可能となります。ぜひご相談ください。)
6の方法については、不動産業者が相互にそのキケン性を十分に理解したうえで取引する場合などはよいでしょうが、境界についての安全性の面から―般にはおすすめできないケースと言えます。
1から4に向かってその作成された書類や測量図の法的確度(安定性)は下がり、費用は安くなってゆくと考えてよいでしょう。