根本聡土地家屋調査士事務所

境界標がなくて困った事例(6)


境界標がなくて困った事例(6)
《 事 例 6 》
 私の父が三年前に亡くなり郷里の宅地(実家)を相続しました。今般不動産業者からの申し入れもあって売却することにしました。
 そこで境界の立会いをすることになって帰郷し、実家の土地の関係者である隣接者に立会いをお願いしたところ、どうしても西側の所有者の納得が得られず、境界確認書が頂けません。頂けないどころか法外な印鑑代を要求してきており、売るに売れない状況です。
 その原因は、西隣の土地の所有者が12年程前に賃貸マンションを建築した時に、基礎工事のコンクリート打ちの際に、約30cm程ベースのコンクリートが父の所有地に湧き出したため、当時父と工事の差し止めでもめたことがあり、そのことを根に持っているようてす。
 当時は地元の自治会長に仲裁に入ってもらい「建物完成時に境界標を入れる」との口約束ができたとのことでした。ところが、その後、境界標は設置されず、父は「何時になったら境界標を入れてくれるのか?」「近所の事だから、裁判まではしたくない」といつもボヤいていました。
 更に、運が悪いことに、自治会長は昨年亡くなられ、他には誰もこの事情を知るものはいないようです。
 今になって、父がボヤいていた時、せめて境界標を入れるように適切にアドバイスできなかった自分が悔やまれてなりません。


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